お疲れ様です。今年も残りわずかとなりました。またよろしくお願いします。
D.M.L.C.-デスマッチラブコメ!-は『レイジングループ』と繋がりのある内容で、同ライターさんの作品ということで以前から気になっておりました。
switchで移植リメイクされた際、オリジナル版と絵柄が変わり(イラストレーターさんも同一のようです)古いギャルゲー感が薄れた気がして取っ付きやすくなりました。特に目がキラキラで見ていて楽しいです。
「告白されたら爆死する」だけ見るとラブコメサスペンス?ですが全然中身は違いましたね。ラブコメ2割と青春2割家族1割、残り半分はSFとサスペンス、厨二異能バトル、タブー、学校の怪談、クトゥルフ?とトラウマと心的病理と見事な闇鍋でした。半分は暗黒。はっきり言うと主人公が恋をする物語ではないので恋愛ものかと言われると?です。ただ、三角関係の矛盾と破綻を描く群像劇としての恋愛に浸れる面白い話でした。絵柄以外は間違ってもギャルゲーではないです。
—–ここからネタバレ プレイメモ
『三人縛りの天使様』…いわゆる学校の怪談。「あなたが大切な誰かのために、邪魔者に害をなす天使様が現れて願いを叶えてくれる」。古い呪術を元にしており、正確には「祈祷者が媒介人を通して誰かを呪う(呪いがプラスに働くと媒介人由来の「超常的な能力を与える」ため、そういう用途で使用されていた)」
作中では
①るみ子が乙羽のために景に掛ける「恋が成就しませんように」
→親友である乙羽との関係を継続させたいために、景がどちらをも選ばないことを願った。これだけちゃんと『三人縛りの天使様』
②隆斗が美弥を媒介に乙羽に掛けた「特定の時間、景への想いが強くなる」
③隆斗が美弥を媒介にるみ子に掛けた「特定の時間、景への想いが強くなる」
→より正確な意味合いで行われた呪術。美弥は別ソースで精神作用のある能力を持っているため、それを利用するために媒介にされている。
a 景は母親が目の前で自殺してしまい、「次こそ愛する人と死ななければならない」強迫観念→「死にたくない/心の中の母の呪縛は「死なせたくない」ため、愛を受け取ることを本能的に避けようとする」
b 美弥は人造的な異能者を作る過程の失敗作である。7つのスロットと1つの主能力を有している(スロット容量が少ないことが「失敗」だった模様)。出自やスロットに能力を取りこむのに他人の異能を食う。異能は本来トラウマや精神病理から生まれるため、能力を食った相手の人格が能力と連動して表に出て来ている。能力名は恐らく食った相手の名前。②と③に利用されたのは「りゅうこ」の相手の絶対的な信頼を得る(魅了する)ことで暗示を掛ける能力。※「まつりか」は「レイジングループ」の回末梨花子(うえまつりかこ)。
c 乙羽の血族は遠い祖先「鬼」の血を取り入れ、火薬の製造と販売で富を築いた由来から、炎を操る異能を持つ。白詰家は取りこんだ血を守るために血縁同士で婚姻を繰り返しており、乙羽は性や自身への嫌悪を強く抱いている。
b由来の②と③の呪いで景に告白したくて堪らなくなる2人、景が告白されると爆発死するのは①の呪いが働き、ついでにaのタブーに触れて死ななければならず、その死因がcの影響を受けて高温と爆発に寄っているため。
「わけもなくモテモテになった平凡主人公は、告白されると爆発死するようになってしまった!」という馬鹿莫迦しいラブコメをここまでありとあらゆる要素を組み上げて理屈を作るライターさんが恐ろしい…。
複数人の思惑が絡み合った結果、自分のトラウマを直撃して死ぬという巻き込まれ損主人公。いい奴なので幸せになって欲しい。
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レイジングループのエクストラ、美弥と隆斗の会話だったんですね…。美弥のタイプは「ふさゆきさん」(レイジングループの主人公。若干サイコパスが入っている)かあ…。悪趣味な人狼ゲームは「なかったことになった」エンドからの未来に美弥は生きているので、「まつりか」が梨花子と少し違うのも納得なのですが、それでも陽明を強く印象付けているのがエモイです。特にDLMCでは所謂ヒロインに片想いするヒロイン枠としてインパクトを与えているので、正直意外です。でも何となく嬉しい。
美弥たちの世界に足を踏み入れた隆斗とこのまま信頼し合って生きていて欲しいなあ。大人になった2人で火遊びして。