お疲れさまです。玉集め全力疾走中、今やっと御手杵+αくらいの玉量です。篭手切君を目指して道具を乱用していますが、特に後悔はありません。(そうでもしないととても集められません…)
毎度いいね!をありがとうございます。映画で印象的だったのでパーカッションにしてみました。皆さんご一緒に!
以下、グレイテストショーマン(字幕版)のネタバレを含む感想です。
—–
面白かった!楽しかった!
評価が分かれている、との情報を耳にするのは、恐らくこの映画に何を求めているか?の違いかもしれません。
この映画はエンターテイメント、P.T.バーナム氏という男を題材にした『ショー』だと思うんです。だから、サーカス団員たちの心の機微とか成長、差別や偏見との戦い、恋愛感情を巡る繊細な心理描写を求めていた人には…ガッカリ、になるのではないでしょうか。多分そういう映画じゃないです。伝記映画の側面を持つ以上、余計な感傷を付け加える方が余程ナンセンスな気もします。彼のエンターテイメント・ショーにはそういったお上品なアレソレは不要、それこそ作中で散々対比された上流の、気取った劇場がやればいい。視点がバーナム氏ならこんな些細なこと入れる訳がない、だからカット、観客を飽きさせないテンポこそ命、きっと監督的にはそんな感じなのではないでしょうか。私は十分楽しく観れましたし、『らしい』なと思えて満足でした。
踊り出したくなるようなカットギターとパーカッションの音楽と、華やかなダンサーたちを楽しみながら、バーナム氏の半生という脚本を疾走感で味わう、まさにアトラクションのような映画でした。
主演ヒュージャックマン、高らかな歌声とアップに光る目元の笑い皺が素敵。時々挟まるナンセンスと他人を顧みない態度に派手な燕尾とシルクハット、軽快なステッキ捌きも相まって『チャーリーとチョコレート工場』のウィリー・ウォンカ氏を想起しました。バーナム氏の茶目っ気とカリスマ性を存分に示しながらも、人間的にけして褒められないシーンでは笑っているのに笑えない道化ぶりも見事でした。
後から考えるとどんな名声や歓声でも埋められない心の穴があるという歌姫ジェニーの言葉に、バーナム氏は少なからず共感したからこそ、あれほど魅せられてしまった訳ですが…彼の心の穴を埋めたものは?という視点ではなく、彼が自分の渇きに気付いたのはなぜ?という面が強い脚本でした。己を顧みれたら、後は自分で穴を塞げるだけのポテンシャルがある人なんでしょうね。猪突猛進、借金も非難も(火事も)恐れない、家族や友のために行動できる、見ていて元気になれる主人公でした。
バーナム氏のパートナーで後継者・フィリップ役のザックエフロン、最近どこかで見たと思ったら映画『ヘアスプレー』のイケメン役でした。ハンサム振りはいささかも変わらず。ナポレオンジャケットが濃い顔によく似合います。男前。
演技メインの二枚目役であまり歌って踊るシーンはなかったのですが、ジャックマンとのバーでの掛け合い(いい味出してたバーテンダーも含め)が決まっていました。ショットの一気飲み動作が、いずれも少し青臭く背伸びして見えたのは演技?それとも素…?若造、保守的、上流出身の役どころによく合ってた気がします。
お気に入りはゼンデイヤ演じる空中ブランコ乗りのアン(綴りはAnne.wikiだとアニー表記。アニーと呼ばれたのかも知れないが、字幕に出ることはなかったので違和感がある。お兄さんはそう呼んでいたかも?)。意思の強さが目つきや姿勢の美しさに現れているようで、まさに美人でした。作中で「メイド」と呼ばれていることから、彼女とその兄がサーカスに入ったのは有色人種ゆえでしょうか。19世紀の話ですからね…。露出の多い華やかな衣装がチョコレート色の肌とはっきりした目鼻立ちによく映えて、とても綺麗でした。
アンとフィリップの『Rewrite The Stars』、すっごく良い曲です。字幕がなぜStars=運命になっていたのか謎だったのですが、Written the starsで運命に定められているという熟語なんですね。ひとつ勉強になりました。
私たちは決まった並びに動けない星座なの、なら運命すら書き換えよう。…うーん、ロマンチック。
上記の他にもミュージカル映画と銘打つだけあって曲は粒揃いです。恰好良いのがOPのThe Greatest ShowとバーのシーンのThe Other Side, 歌詞を噛みしめて聴きたいのがRewrite The Stars, 泣きたくなるほどパワーを貰えるのがThis is Me, 高速を飛ばしながら大音量のカーオーディオで流したいFrom Now Onといったところです。Youtubeなどで試聴も出来ますが、やはりミュージカルですので、ストーリーとダンスも込みでお楽しみ頂くのが一番かなと思います。
ショウマン・Mr.バーナムの半生という世紀のショーの終わり。彼は舞台を降り、一人の観客となりました。
楽しませる側でなくなった『グレイテスト・ショーマン』の話の幕引きと、新たな≪ショーマン≫の可能性を見出す非常に明快なハッピーエンドでした。タイトルセンスも好きです。
ディスクを買うか悩ましいのは、このショーがまさにサーカスの様に臨場感と共に味わうものなのかも知れないからです。
この悩ましさこそがショーの『味』なのでしょうか?発売までパンフレットを見ながらしばらく噛み締めるつもりです。